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  連載コラム 2006.夏 最新号

札幌電気工事業協同組合 理事長 尾池 一仁
「中国紀行」2006年
 昨年、東シナ海の海洋権益問題あるいは歴史認識のもつれから、日中関係が混乱している最中に中国視察に出かけ、其の有様を二回の「中国紀行」で皆様にご紹介したところであります。今年も懲りずに4月16日から19日まで3泊4日の行程で石垣電材樺国視察団として、中国南部に位置する山水風景が見事な桂林と近代都市上海を視察してきました。

 折角の機会ですから、桂林について詳解させていただきます。桂林は中国大陸最南端でベトナム国境に隣接する広西壮族自治区の北東部に位置する人口480万人の観光都市です。歴史的には秦の始皇帝時代に霊渠という運河が建造されて以来、2000年余りに亘り中国南部の政治・経済・文化の中心として栄えてきましたが、その間、国家の首都となったことは一度もありませんでした。
 私たち日本人が、中国の絵画で連想するのは水墨画であります。また、其の背景の景色は桂林であり、一度は行ってみたい観光地であります。まさに、3億年前には海の底にあったカルスト台地(石灰岩台地)が隆起し、数億年をかけて雨水あるいは漓江の流れによる浸食活動によって、作られた幻想的な山水風景が桂林であります。

 4月16日13時30分に中華東方航空で千歳空港を飛び立ち、上海国際空港を経由し桂林空港に着いたのが21時30分、実に8時間を要して目的地にたどり着き、遅い夕食後ホテルに着いたのが11時。精も根も尽き果てベッドに転がりこむのが精いっぱいの初日でありました。

 4月17日早朝から観光バスで1時間半かけて、漓江上流の川下りの地点まで移動し、今回の視察団総勢90人がほぼ貸切状態で一隻の遊覧船に乗り込みました。この遊覧船はジーゼルエンジン付の2階建てで、厨房も完備されている実に立派な船での川下りの始まりでした。下る間もなく、水深10メートルに満たない更に、川幅50メートルの緩やかに蛇行する漓江の両岸の景色は、程よく侵食され山の頂上部が丸みのある山、侵食最盛期の剣が峰の山々が織り成す景観はまさに幻想世界そのものでありました。
 私もしばしの間、チャイナドレスに日笠の中国美人を伴い小船に揺られながら、何億年もかけて作られたこの絶景も、君の美しさには及ばざるがごとしの意味をこめ「億年の 歳月かけし 絶景も 君が美形に 霞て見えし」と和歌などを囁きながら、仮想現実の世界で古の川下りの風情に思いをはせていると、川岸から上半身裸の二人の若者が、直径15センチほどの竹3本を束ねた粗末ないかだに乗り、いとも簡単に小判ザメのようにエンジン付の遊覧船にくっ付き、窓越しに物売りが始まると前後して、船内でも現地のガイド、更には船員総出の物売り合戦が始まり、物思いに耽っているどころでは有りませんでした。
 更に驚くことに、船首の川下、船尾の川上と50メーター置きに数え切れない程の遊覧船が川下りをしていた光景は異様でした。古の風情豊かな漓江の川下りに代表される桂林は、世界的観光地として数え切れないほどの観光客が訪れると聞いていて、私も観光客の一人として幻想的な山水風景を想像して楽しみにしていたのですが、古の風情とは不釣合いなエンジン付の遊覧船、金髪の西欧人で溢れる桂林には失望したのが現実でした。

 話は脱線しますが私の和歌の師匠は今回も同伴していただいた、札幌日信電子鰍フ三井社長であります。教えられたことはただ一つ、「和歌には俳句と違い季語は有りません、感じたままを素直に5.7.5.7.7と流れるが如く表現すればよい」と教えられました、更には、「和歌は平安京の時代に貴族が恋文として読んだもの」とも聞かされました。根が素直な私は「和歌は恋歌か」それならば、女性にはことのほか優しい私の得意とする分野だと弟子入りしたのが経緯であります。ただ、私の場合は和歌と言えるものではなく、まさにただの恋歌です。それでも、女性には受けがよいものですから1か月に一句ほど新作を作っています。せっかくの機会ですから過去の作品を2、3点紹介させてください。
 この紫煙は私の妻も愛読しています、「お父さん、やっぱり浮気していたのね」鍋や釜が飛んでこないように、あくまでも背景は総て私の思考の中で連想する仮想の設定であることを前もってお断りしておきます。
 では一作目の仮想設定、私も一応札電協の理事長の職にあり、更には妻子もある身でありますから、愛しき人との逢引は街中ではできません。忙しいスケジュールを調整して、隠れ宿の定山渓鹿の湯の露天風呂で二人でお湯に浸かっていますが、明日には離れ離れになる切なさを「湯煙の 君と逢瀬の 隠れ宿 短き時の 別れ切なし」と歌いました。
 二作目は仮想設定ではなく現実です。私はお酒が飲めません。それでも時々は親しき友人に誘われてスナックにも行くことがあります。ある日の友人の行きつけのお店でのエピソードです。私がお酒も飲めないのに付き合ったにも関わらず其の友人は、お店に着くなり私には四十過ぎの体格の良い女性を押し付けて、悪友はお店で一番可愛い子を横に座らせ、夫婦気取りでいちゃついているのに腹立たしく思い「酒のみて 夫婦気取りの 夢芝居 君が面影 捨てにし家路」と嫌味な歌を贈りました。
読者の皆さんは私の友人を色々連想するでしょうが、大成電気鰍フ小野寺社長では有りません。その悪友は私と同い年です。
 三作目も現実です。私も「いかづち会」の会長そして今は顧問と、祭りが大好きです。祭りには浴衣が似合います。祭りの夜に前方から浴衣着の美しき女性が近づいてきました。すれ違い去り行く時ほのかなシャボンの香りとともに、聞こえ来る下駄の音色は優しい色香がありました。「浴衣着の 去り行く女の 下駄の音 音色優しき 色香残して」ついでに、今度の作品には「君が乳房の ぬくもりが」のフレーズを盛り込み、さらに色っぽい歌を作ろうと思っています。乞うご期待を。

 脱線したままで、文末になってしまいました。今回の中国視察には昨年差し歯脱落の災難にあった新海勇治北支部長、和歌の師匠であります札幌日信電子鰍フ三井尚社長、新たに大成電気鰍フ小野寺涼一社長を始め、業界の友人の皆さんと同伴させて頂き大変お世話になりました。お礼申し上げます。次回は中国紀行第二弾としてリニアトレイン時速430キロの乗車体験を詳解いたします。


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