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     連載コラム 2010. 秋 最新号
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札幌電気工事業協同組合 理事長 尾池 一仁
「預金税ってなんなんだ」
 
 民主党政権となり、菅政権が困窮する増税案として国民の預金に課税をすることを検討することが報道されたのは8月初旬であった。
その概要は郵便局、銀行、信金、全ての預金を合算して3,000万円以上の預金者には一律の課税をすると言ったものである。では、その基準となる3,000万円の預金はいかなるものか検証してみよう。

 まず、その基準となる3,000万円以上の預金者が多い年齢層は75歳以上の高齢者である。彼らは昭和初期に生まれ、戦後、社会人となり戦後の復興期、そして日本経済が世界経済史上、例を見ない高度経済成長期、バブル期と成長過程の中で40年間、がむしゃらに働いた対価、報酬は約2億円と想定される。その2億円から所得税、健康保険料を含む社会保険費など国家に納めた義務費は6,000万円、実質生活費は8,000万円、住宅取得費など3,000万円、こうして血のにじむ努力の結果の残金が預金の3,000万円であると想定されるのである。当然のことながら脱税して3,000万円の預金ができたのではないのである。所得税をすでに納めているのも係わらず、残った預金にまで課税をすることは国家的暴挙であり、国家による国民に対しての窃盗犯罪と言っても過言ではない行為である。そもそも、菅政権が預金税なる課税対策を打ち出した背景には国家として借金が1,000兆円の大台にならんとしているからである。しかし、国民の預金資産が1,200兆円あるがその資産が市場に回らない、更に適切な経済対策も打ち出せない、経済が活性できないので税収も伸びない、ならば強制的に1,200兆円の資産を目的として合法的に徴収するには預金税が最適であるとの単純な発想である。

 今年の6月にEU加盟国のギリシャが国として破綻の危機に直面し、世界経済に大きな影響を与えたことは周知のことである。国民のGDP比率から対比してもギリシャの国としての借金よりも日本国の借金比率が高いのである。日本は破綻の危機ではないと世界から判断される理由はギリシャの国民は預金資産がなく、日本の国民は預金資産があるからである。単純な表現をすれば日本国は貧乏だが日本国民は金持ちだと言うことである。将来、共にそれが維持できるかは疑問である。私は現在61才、まだ勤勉世代であり、現金主義者でカードに溺れぬ預金主義者である。次世代の40才以下の人々は有る金は全部使ってしまい、金が無くなればローンを組み、借りてしまう借入金主義者が大半を占めていると見受けられる。預金主義者が減り、借入金主義者が主流を占める近い将来、日本もギリシャと同じ道を歩む恐れがある。そもそも、日本はギリシャと同じく官僚大国と他国から揶揄されるように国を管理していく費用が経営者的立場で言えば、考えられないほど異常に高いのである。

 民主党が自民党政権下で国会議員、国家公務員を大幅に削減すると主張してきたが実権を握ってしまった今ではトーンダウンしてしまった。日本の政治も民主党そして自民党と二大政党が現実化しました。国民も二者択一の選択肢を得た、今まさに次の政権奪回を目論む自民党には現政権の望みである預金税なる法の阻止と国会議員並びに公務員の大幅削減を主題とした公約を期待する所である。

 読者の皆様には、この預金税なる法律がすでに成立したかのような誤解を招く文章となりましたがあくまで法案化されているものではなく、閣内もしくは民主党内で議論されていることを報道に基づいての記載でありますことをおことわり申し上げます。

 第二次菅内閣が今後この件に関してどのように進行させていくのか見守っていきたく思います。
 

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