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  連載コラム 2010.新年 最新号
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札幌電気工事業協同組合 理事長 尾池 一仁
「知っていましたか?児童手当のしくみ」
 
 「紫煙」をお読み頂いています皆様に、改めまして2010年の新春をご健勝にてお迎えになられましたこと謹んでお慶び申し上げます。
 昨年の8月末に行われた国政選挙では民主党が大勝し、9月には民主党主体による内閣が誕生し、戦後60年に及ぶ自由民主党主権政治が幕を閉じたところであります。内閣総理大臣には北海道9区選出の「鳩山 由紀夫」衆議院議員が選出され、北海道開拓150年史上、初めて待望の総理大臣が誕生致しました。
 民主党が大勝されたのは、今まで政治に関心を示さなかった若年層に対して「マニフェスト」なる新しい戦略的ツールを取り入れたことにも一因があるのではないでしょうか。それと共に、小泉政権以降の劇場型政治をマスコミが後押しした結果でもあると思われます。

 マニフェストを和訳すれば、「政策的公約書」となります。つまり、従来型政治での党公約、あるいは政治家の選挙公約を横文字化したものであります。このことを考えるに、日本人は横文字に特別な畏敬の念、あるいは憧れを持っているのではないでしょうか。例えば、話し合いで総量の決まった仕事を分かち合うことを、日本文化では談合と表現し、悪の枢軸のように言われますが、横文字に変わるとワークシェアリングとなり正義化されるという事もあります。またあるいは、横文字に傾注している人々の関心を引くことが目的なのでしょうか。近年、世界の文化が国の枠を超え、融合することを非難することではないのですが、翻訳の意味を熟知しないで使われるのはいかがなものかと思います。

 今回の紫煙の本題は、民主党の党公約マニフェストであります。民主党が掲げる5つの公約のひとつに、年額1人当たり31万2千円を支給する「子ども手当制度」というものがあります。これは総額5.3兆円の財源となっています。子どもを養育することは、親の義務ではなく、国家の義務であるなどと勘違いをしている怪物的両親(モンスターペアレンツ)にしてみれば、願ってもない公約であります。この民主党のマニフェストである子ども手当の背景には、国民の90%以上が知らない事実があります。

 昨年秋・当札電協の振替伝票を精査していたところ、職員の福利厚生費として児童手当なるものが、伝票に計上されていたのであります。私は早速、子ども手当なるものが施行されたのではないかと勘違いをしてしまったところであります。この「児童手当制度」なるものは、自由民主党政権下の昭和47年に国会で審議され法制定された制度であります。この児童手当を受ける対象は、1人の場合3歳未満の児童月額1万円、2人の場合3歳以上小学校入学前児童1人月額5千円、3人以上の場合月額1万円×人数−1万円であります。財源は、厚生年金保険加入の事業主が直接負担、私立学校共済・地方公務員共済・国家公務員共済組織は、事業主が国でありますから、税金にて負担をしていることから間接負担となっています。負担率を見てみますと、児童手当の財源が10兆円必要と仮定した場合、事業主が7割、国が1割、都道府県が1割、市町村が1割であります。支給認定基準には父母の所得による制限があり、高額所得者の児童は対象外となっております。その認定を行う機関は、市町村となり支給も市町村が行っています。では事業主が負担する金額と徴収方法は、事業所に所属する従業員の厚生年金の標準報酬の千分の1.3であり、20人規模の事務所では年間15万〜20万円を社会保険事務所に納めています。更に、この納付金は会社が赤字で税金が納められない場合でも、給料を支給している限り、徴収されているのであります。

 今まで事業主が国の将来を担う子ども達の育成に大きく貢献をして来たにも関わらず、私を含め多くの皆さんがこれを認識出来ていなかった要因には、厚生年金保険料と共に社会保険事務所に納めていたことによるものです。
 このように、私達事業主が日本の将来を担う子ども達の育成に大きく貢献して来たことは事実であります。

 最後に、民主党が創設を主張している「子ども手当制度」が実施されれば、当然のことながら、従来私達が負担して来た「児童手当制度」が廃止されますことを僅かな期待として、紫煙の結びと致します

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